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『相棒』でこそ俳優は光る
杉下右京の相手役も、寺脇康文、及川光博、成宮寛貴と三代目です。家内の前宣伝もあって成宮君にはかなり期待し、実際初回スペシャル (香港の日本総領事館殺人事件) の時は、若いのに立派な顔立ちをしとるわいと感心しました。最後に流れた哀愁に満ちたピアノ曲も、余韻に貢献したのかも知れません。しかしその後の成宮君は、体力勝負の役目を押し付けられたり、自分が事件に巻き込まれてあちこち引き回されたりと、活躍の仕方が些か地味です。
考えてみると話の中身も、寺脇君の頃の方が官僚的or司法的or国家的陰謀などというのが結構あって、緊迫感もあればスケールも大きかったような気がする。それに比べると最近は、政府や警察機構を悪者にするシナリオは慎しむようにと雲の上からお達しでも? と勘繰りたくなるくらい、話が小粒になっています。何せ連日、過去のシーズンから一話を選んで再放送してくれるので、その積りが無くても比較してしまう。
でも、最初のシーズン以来ず〜っと見事に維持されていることがあります。杉下右京がいつも人の気付かぬようなことを気にして謎の解明に至るなど、ストーリーの巧みさは改めて指摘するまでも無いとして、最近つくづく思うのは、どの俳優も演技がビシッと引き締まっていることです。監督も和泉聖治の他に何人か入れ替っていますが、そこは一定しています。身体の動きや科白に無駄が無く、妙に誇張した表情や身振りも無く、リアルな感じにいつも引き込まれます。過去の再放送をたまたま眼にして、あ〜これ覚えてると思っても、ついついコマーシャルが入るまでは見てしまうのは、そのせいでしょう。
そうした監督達の力量の賜物だと思うのですが、私が見る限り常連・非常連を問わずどの俳優も、『相棒』では他のドラマの時と比べて見違えるように光っている。
常連では、既に舞台から消えてしまったけれど小野田官房長役の岸辺一徳 (彼については前にも書きました:「『相棒』から消えた寺脇康文」)。最近、米倉涼子演じるフリーの外科医のマネジャーをやってましたが、あの存在感の耐えられない軽さには閉口しました。他にも刑事三羽ガラスの川原和久に大谷亮介、鑑識の六角精児など。非常連で特に印象に残っているのは、法務大臣役で何度か出てきた津川雅彦、女性議員役の木村佳乃など、数え上げればきりがありません。どの俳優も、『相棒』で演じる人物こそ嵌り役だと感じるから不思議です。
女優の場合のその典型が、檀れいです。及川君がゲットしましたが、Season 8の第10話「特命係、西へ!」で共演したのがきっかけだそうです。何を隠そう、私もこれを見ている内に彼女の虜になってしまいました。厚労省が警護を付けるほど優秀なバイオの研究者でとびきりの美女、という設定が既にボクの弱点を突いている上に、謎めいた深い憂いを湛えた大きな瞳。あんな瞳に見つめられたら ボ ボ ボクは... と妄想しそうになりました。ところがふた月ほどして家内と自宅近くを散歩していたところ、バス停の大きな広告パネルの一つに、ごく普通の顔した若い女性がビールを片手にほほ笑んでいる。家内に指摘されても、それが檀れいだとは暫く信じられなかった。「特命係、西へ!」で見た彼女は、ビールの広告なんかとはケタ違いに魅力的だったのです。というわけで大きなお世話ではありますが、及川君もひょっとして、共演中の彼女の表情に魅せられて好きになってしまったのではないか。そしてこの仮説が正しいとすると、二人の将来に多少の危惧を感ぜずにはいられませんが、きっと彼女も、及川君が頼めば時々はあの憂いに満ちた表情を見せてくれるのでしょう。
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