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新型コロナ専門家会議「尾身茂」という国難
なる記事がツイッターで紹介され、是非読みたいと思って検索している内に、同記事を含む新潮文庫『日本の聖域 ザ・コロナ』に至りました (2021年11月刊、月刊誌『選択』編集部編、Kindle版658円)。
第一部 この国ではカネは人命より重い
国立感染症研究所
新型肺炎で機能不全の「利権集団」
新型コロナ専門家会議「尾身茂」という国難
その提言に世界が「疑問符」
厚労省・結核感染症課
「コロナ騒乱」諸悪の根源
PCR検査
異常な少なさの全真相
Go To トラベル「補助金」の闇
業界団体と結託「謎の企業」大儲け
....
第二部 堕落と癒着の連鎖
竹中平蔵
菅政権で栄える「学者政商」
NHK「政治部」
「政権広報機関」の哀れな内情
大企業「優遇税制」
政財界の癒着が生んだ「税逃れ天国」
....
第三部 私利私欲の果てに
「人工透析」二兆円利権
批判許さぬ「亡国の所業」
自衛隊と「選挙」
自民党「集票マシーン」の実力と内情
古美術品「国外流出」
中国に吸い込まれる「日本の宝」
....
まずは第一部を読みましたが、様々な要素が複雑に絡んで、私にはとても適切な要約が出来ません。幸いノンフィクション作家・柳田邦男氏の解説が最後に付いているので、抜粋します。
第一部では、コロナ禍初期の重大な失敗として、PCR検査体制の立ち遅れを、多角的に取り上げている。
(中略)
新型の感染症が爆発的拡大に突入するのを防ぐには、国内で一人でも感染者が確認されたら、その人の行動歴からすでに不特定多数の無症状の感染者が広がっており、それらの人々からの二次三次の感染拡大の可能性が高いことを前提に、国や関係機関は万全の対策に取り組むべきである。
だが、最初期の20年1月から3月にかけてのこの国の対応は、その段階で致命的な失敗をする。その失敗とは、PCR検査の対象者を明確な症状のある人と濃厚接触者のみに絞ったことと、多数の人々が密集する場のクラスター防止対策に重点を置くことで、爆発的拡大は防げるという枠組みを作ったことだ。
(中略)
なぜPCR検査を無症状者にまで広げて、感染拡大の実態把握をしようとしなかったのか。その理由について、厚労省などによる説明では、公的な検査設備と調整役を担う保健所と地方衛生研究所の職員数と検査対応能力に限界があったためとされるが、真実は違っている。
PCR検査は高度な技術と時間を要するものではないことは、一年も経たないうちに認可され普及した市販の検査キットの簡便さを経験すればわかる。検査難民という言葉まで登場した20年春の時点でも、民間の検査会社や医系大学を動員すれば、保健所がPCR検査対象者調整作業でパンク状態になるという事態は充分に回避できたのだ。
しかし厚労省の担当幹部や医療界の感染症分野に影響力のある専門家らは、新型コロナ患者の入院が急増して病院を圧迫するのを避けようと、PCR検査対象者の条件を厳しく線引することで、軽症や無症状の感染者を放置する方針を採ったのだ。その根拠になったのは、既述のように濃厚接触者の検査とクラスター防止対策に取り組めば爆発的感染拡大は防げるという、一部の専門家の誤った見解だった。
さらにもう一つ背景にあったのは、厚労省・結核感染症課、国立感染症研究所、保健所・地方衛生研究所という「公衆衛生ムラ」が、財源と情報を独占したいがために、民間企業の協力を排除する体質があったことだと、本書は様々な事実や数字や人物の発言などを根拠にリアルに告発している。
(抜粋終り)
尾身茂個人については (以下引用):
予算増、ポスト増を要求し続ける「パンデミックムラ」の専門家たちも、彼らが専門家として優れているなら国民は納得するしかない。ところが、実態は「パンデミック対策の専門家とはほど遠い人達」(公衆衛生学教授) なのだ。
そして、その象徴が分科会会長を務める尾身だ。
(中略)
尾身の診療歴は自治医大卒業後の9年間の地方勤務、研究歴は母校の予防生態学教室の3年間の助手勤務だけで、筆頭著者の英文論文は一報しかない。
ファウチは1966年にコーネル大学を首席で卒業後、国立衛生研究所 (NIH) に50年以上にわたって勤務したエイズなど感染症を専門とする医師だ。『ネイチャー』『サイエンス』だけでも過去に46報の論文・論考を発表し、1983〜2002年まで世界の科学誌にもっとも引用された研究者の一人とされている。 (引用終り)
実力に基づく自信のなせる技か、ファウチは大統領の地位にあったトランプと対立することも辞さなかった。尾身は、一貫して検査体制の強化を指示してきた官邸の意向を無視し続け、様々な局面で厚労省を擁護してきた。その具体例は本書に詳しい。
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