あてもなき 夢想に耽らぬ 人やある

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哀愁の調べ わが心を慰む(1)


突然ですが、電子ピアノの音が一つだけ出なくなりました。

パソコン・スマホの類は一切延長保証を付けずにやってきたので、こちらも付けてないと思い込んでいたのですが、購入先の島村楽器に電話したところ、五年の延長保証が付けてあるそうな。折角金を払って付けたのなら、利用しない手は無いと修理を依頼。

しかし、買ってもう二年と二ヶ月。南戸麻亜さんのアドバイスのお陰で (「ぴあの(1)」)、全くものにならなかったわけでもないし、もっと音の良い機種に買い替える機会かも、と思ったら空想が膨らんで… すぐにも目当ての機種の音を確かめに行き、納得できたら買っちゃおう、と考えました。

実行に移す直前にメーカーから電話があり、希望的推測によれば若く美しい女性が不具合の内容を尋ね、修理の日時を設定。当然、その人が修理に来るものと思いますよね。しかし実際に来たのは、60前後の如何にも温厚篤実そうなオジサン。彼の方も「ちっ、綺麗なお嬢さんかと思えば70過ぎの爺さんかよ」と心中ぼやいたに違いありません。それでも、鍵盤を一本一本外して行くような根気の要る作業をした挙句に、センサー一式取り換えますと、結局二時間余り仕事して帰りました。

それを見たら、折角直してもらったのにすぐ買い替えるなんて、このオジサンに申し訳ないという気持になった。一年前からぼちりぼちり復習している、『ピアノの練習 ABC』が8曲残っているし(ぴあの(11)同 (12))、せめてそれが終ってからにしようと考え直したのです。我ながらまともな思考が出来たものです。

もっとも、若く美しい女性が修理に来てくれていたら、延長保証が切れるまであと三年待つ気になっていたかも。だって、また故障したら行き掛かり上同じ女性が来てくれるわけでしょう。メーカーは、早く買い替えさせるためにオジサンを送り込んでくるのか。

いずれにしても、故障するまでは、二年と二ヶ月で買い替えるなんて考えもしなかった。修理してもらった以上、故障前と同じ状態に戻ったわけで、せめてもう一年か二年は使うのが当然です。それが待ち切れずに買い替えるなんて、幼児モードではないか。

でもコロナ禍の昨今、高齢者があと一年も二年も生きてる保証こそ無い。それに、書画骨董でもなければ...遊びでもないけど、ピアノで稼げるわけでない以上、道楽には違いない。道楽には金が掛かるものと、昔から相場が決まっている... と、思いは行きつ戻りつ。


それはともかく、新たに購入すべき機種について検索しまくっている内に、面白い記事に当り、「電子ピアノはピアノじゃありません!」と南戸麻亜さんに注意された意味が少し分ったような気がした。その時は、「何もそこまで言わなくても〜」と心の奥底で思ったのでありますが、記憶の限りで記事の趣旨を要約しますと、

「アコースティック・ピアノは自分で音色を作り出さなくてはならない。ところが電子ピアノは、鍵盤を押せば最高の音色が出てしまう。だから、プロ志望で自宅では電子ピアノで練習している場合、弾き方が雑に感じられる人もいる」

恐ろしいことであります。でも私の場合、年寄りの惚け防止を兼ねた楽しみですから、バカちょん式にいい音が出ちゃっても困りません。


さて先日、遂に発表会に行って参りました… 週一で通っている船橋の鍼灸の先生に、「Catherine Rollin の書いたピアノ曲のお勧め動画なんてどうでもいいから、あなたの弾いているところが見たい」と以前から言われていて、その度に「お聞かせできるようなものではございませぬ」と固辞しておりました。

ところがその後、「船橋駅と京成船橋を結ぶ通路にストリートピアノが置いてある。あれを使えば?」という話になり、先生と治療スタッフ合わせて四人の美女が聞きに来てくれると言うのです。私もいい機会だと思い、「ぴあの(13)」でご紹介した Catherine Rollin の二曲:

 「Lament (悲歌)
 「Moonlight nocturne
 
を選択。指定のテンポは無理でも何とか曲に聞こえる程度で、強弱・緩急まで入れて練習し直しました。しかし何せ通路です。春先の風は冷たく指が冷える。自宅の電子ピアノとタッチもペダルの踏み具合も違う。何より、見知らぬ通行人の視線が気になって、時々小指と薬指がアル中みたいに震える... というわけで悲惨な結果に終りました。

それでも私の人柄のせいでしょうか(冷笑)、鍼灸院の美女達は「素敵な曲だわ〜、カッコ良かったですよ〜」と喜んでくれました。あ〜恥ずかしい。

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