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ぴあの(5)『バイエル』を三週間で放棄
1月末に電子ピアノが到着し、『バイエル』上巻で一日一時間のお稽古を始めました。それから3週間、半分も行かない内に、「上巻の次は下巻」という調子でやっていて良いのか心配になってきました。
専門家グループのサイトを見たからです:
『ピアノレッスンのヒント』
教則本の様々な系統、練習のアドバイスなどに加えて、
「特集 バイエルを考える1、
バイエルの初級教材としての問題点」
と題する記事があり、要点は以下の通り:
1)普通は右手部分をト音記号、左手をヘ音記号で表示する (ヘ音記号ってナニ?という当時の私と同じ状況の読者のために:譜面)。
しかるに『バイエル』は、両手ともト音記号で表示される期間が長い (上巻1〜43番、下巻44〜106番の内、64番まで)。そのため、左手部分がヘ音記号になった時に難しく感じる。
2)ハ長調の期間が長いので (69番まで)、後で♯や♭が出て来た時に難しく感じる。
3)同じ音域を弾く期間が長いので、譜読みのスピードが遅いまま経過する。音域が広い曲に対して、手の反応が早くならない。
これだけ言われたら誰だって、上巻を終えるまでもなく他の教則本を探しますよね。私も22番まで来たところで楽器店に行き、改めて色々覗きました。
その結果、アメリカ系は挿絵の趣味が悪過ぎるし、結局 行く前から気になっていた『メトードローズ』を買って来ました。最初の方には、『大人のための 独習バイエル』で練習曲に入る前に用意してあるような指の基礎練習もあり、これなら間違いなく使えると分ったのです。
『メトードローズ』を知るまでは、一種の通過儀礼として『バイエル』上巻だけは何が何でも終える積りでしたが、半分で投げ出したとの汚名覚悟で、切り替えました。『バイエル』に費やした人生は3週間。これも無駄ではないので、恨み辛みは呑み込んで、次回は『メトードローズ』のご紹介です。
追伸 1月末の仕事が終ってピアノが来るまでの二日間、ついついYouTubeを覗くと、「カッチーニのアヴェマリア」のピアノソロが出て来ました:
ピアノソロ上級バージョン
(中級、初級バージョンもあり。曲のいわくについては「カッチーニの Ave Maria」をご覧下さい)
和音の響きが素晴しいだけでなく、手の動きも華麗で見ていてうっとりしてしまう。しかし幾ら何でもあそこまでは行けまい。せめて中級バージョンが弾ければ...
でも、何度聴いても飽きないこの「アヴェマリア」を練習している内に、マリア様のお導きで信仰に目覚めてしまったらどうしよう...
なんてことが心配になる程、カトリックは敬遠しておりまして、そのカトリックのお陰で美しい曲が生まれたと思うと、複雑な心境であります。
もっと言えば、中世の教会音楽は仏教の声明(しょうみょう)と大差無いように聞こえるのに、欧州ではそこからクラシック音楽が生まれた... この差は一体どこから来るのか、不思議で仕方ないので、
岡田暁生『西洋音楽史』(中公新書)
を繙きました。これによると日本との違いは、
「音楽は振動し鳴り響く数字であり、
超越的な秩序(数学的比率)の感覚的な現れ」
(p.21)
と捉えた古代ギリシャに、その淵源があるような気がする。
それは別にしてもこの本は、バッハについての解説・私見など、実に面白い。
注 ウィキペディアによると、ジュリオ・カッチーニなる作曲家は実在したが (1545頃〜1618)、「カッチーニのアヴェマリア」と呼ばれる曲は実は、1970年頃ソ連の音楽家ウラディーミル・ヴァヴィロフが作曲したのだそうな。
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