あてもなき 夢想に耽らぬ 人やある

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ウォーキング・マシンと風景映像


ウォーキングと言えば普通一時間は歩くのに、「モーターの性能上、30分以上連続して歩かないように」とメーカーが釘を刺す、あのマシンのことです。

今の家には40年近く住んでいて、散歩に丁度良いコースも絞られ、連日でもないけど何年も歩けば、いい加減周りの風景には飽きてしまう。ウォーキング・マシンならテレビを見ながら歩けて、雨の日も歩けるし、回数も増えるのではと考えて購入しました。その結果、雨でない日も30分しか歩かなくなってしまった。

それはともかく、

 南米の遺跡
 エジプトの発掘現場
 モアイ像の謎
 タクラマカン砂漠
 四川省の美人谷
 南極大陸

などなど、色々録画しては見ながら歩いてます。

それまでテレビと言えば、ニュースか録画したドラマ・映画しか見なかった。色んな風物を紹介してくれる番組の存在は知っていたが、大抵 好きでもないタレントが添えてあって目障りだし、歴史や科学の解説ものは話がちんたらちんたらして、何もせずにじっと見ている気になれなかった。

ところがマシンで歩きながらだと、そんな番組でも中々面白い。お陰で、今まで全く無縁だった種類の番組を色々と目にすることになった。特に風景ものは、南極にしたってタクラマカン砂漠にしたって、たとえ自分で出掛けたとしても、例えば空から撮影した光景などは、絶対見られない。

しかし幾つも見た挙句に、やはり我慢ならなくなったのが、タレントに「わ〜、凄〜い!」とか言わせながらの風景映像。別に見たくもない顔が邪魔だし、時々入る彼女または彼のコメントがまたイライラする。たまには気の利いた台詞もあるが、ほんとにタレントが自然に発した言葉かどうか。スタッフと一緒に頭をひねったんじゃないの、と勘ぐりたくなる。これからは、タレントが出て来る番組は、音声を切って見たろか。

一番ヤラシイのは、現地のガイドとか専門家と落ち合った時に、「初めまして」とか言っちゃうところ。或いは、公園のベンチに座っている人に近付いて、「何々先生ですか」とか言っちゃう。

こういう番組は、企画から始まって、数週間或いは数ヶ月に亘る準備の上で撮影に入るわけでしょう。関係者が集まって、細かいところまで事前に打合せをする。いざ収録の段階になって、タレントが登場人物と初めて顔を合わせるなんて、あり得ないじゃないですか。

正確に言えばヤラセと呼ぶべきこうしたカットを、どうしてわざわざ挿入するのか。そうした方が現実感があるとでも思ってるんだろうか。それとも、画面に映る通りにことが起きていると率直に受け止めない私が、ひねくれてるのだろうか (「ドキュメンタリー番組とヤラセ」)。

番組中の解説だって、何もタレントが教えてもらう形にしなくたって、必要な情報だけを淡々としたナレーションで伝えれば良いではないか。それならナレーターは有名タレントだって何だって、すべきことをしてくれれば文句は言わないし、こちらは歩いてるんだから、多少説明がくどくてもダラダラしても我慢する。

そういう意味では、NHKの「体感グレートネイチャー」は中々いける。しかし、90分の間に「絶景」「謎」の二語を連呼するのは止めて欲しい。それに、何か「あっと驚くような光景が」と言ってから、どうして先にディレクターやらタレントの驚愕の表情を5秒も10秒も見せるのか。視聴者をじらせて雰囲気を盛り上げようなんて、制作側の傲慢だ。問題の光景すぐに見せたら、その価値が落ちるとでも思ってんのか...

一番良かったのは、まだ両親が生きている頃、山の風景でも見せて上げようと32インチ液晶テレビを初めて買って、たまたま見付けたロッキー山脈の空撮番組だ。あれはほんとに絶景を見せるだけに徹していて、また見たいくらいだが、その後、同じような構成の番組にはとんとお目に掛からない。

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