Category [恐れ多いけど文学関係 ] 記事一覧
筒井康隆『読書の極意と掟』
以前からこの作家には関心があり (「筒井康隆の『パプリカ』『文学部唯野教授』」)、『朝日新聞デジタル』でインタビュー記事を読んだ折りに、iPadのiBooksアプリで彼の著作を検索し、標題の本が目に止まった。2018年刊。題名が如何にもカッコいいので、まず無料サンプルを覗き、直ちに購入。ちなみに、紹介される全66冊の題名がサンプルで見られます。実は丸谷才一の文章が好きで、彼の小説・評論は全て買って一部を読みましたが...
- 2021.03.17
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筒井康隆の『パプリカ』『文学部唯野教授』
ほんとはネ、新作『モナドの領域』について書く積りだった。ところが、新聞広告や帯封のキャッチフレーズ「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長篇」は、全くの期待外れ。何より、タイトルに掲げた二冊の印象が余りに強かった。特に、夢の世界が現実に干渉してくるという奇想天外な虚構を端正な文体で語る『パプリカ』に比べると、新作のストーリーは薄味で迫力に欠ける。アリストテレスやトマス・アクィナスまで出てくる哲学・...
- 2016.01.13
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何でも望みを叶える代りに持主の寿命を縮める魔の皮
晦日の深夜12時を回ると年が改まると言うけれど、5月13日が14日になるのとど〜違うの...とは申してもやはり年の変り目には、来し方行く末に思いを巡らせてしまう、そんな中で思い出したのがバルザックの『あら皮』です。フランスに留学して間もない頃、恥ずかしながらこんな小説があることも知らない内に、映画化されたものをテレビで見て強く印象に残りました。何より、いきなり原題 “Peau de chagrin” に接したため、『悲しみの...
- 2016.01.01
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谷崎潤一郎と本居宣長と『源氏』
丸谷才一の『文章読本』(中公文庫) を時々読み返しますが、何度見てもつい引き込まれるのが、冒頭で谷崎潤一郎の『文章讀本』を紹介するくだりです。以下、引用を交えて要約します。谷崎はその第二章「文章の上達法」において、「文法的に正確なのが、必ずしも名文ではない、だから、文法に囚はれるな」と強調しているが、不思議なことにその文法とは日本語の文法ではなく英文法のことである。まさかそんなことがあるものかと誰し...
- 2011.11.14
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上田 敏の訳詩集『海潮音』
今の仕事に就くための修業に三年間滞在して以来、20年ぶりに家内とパリに来ました。ダ・ヴィンチ・コードで有名になったサン・シュルピス寺院まで歩いて3分のところに、かってルイ14世の甥の所有物だったという7階建のホテルがあり、その7階の屋根裏部屋31m2に二週間の予定で宿泊中です。広い代りに天井の窓側半分が45度の傾斜を成して床に達していて、太い梁も露出しており、頭をぶつけぬよう腰をかがめて歩き回るのも楽しみの...
- 2011.06.09
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芥川龍之介とつれづれ草
テレビで芥川龍之介の話が出て、久し振りに彼の『侏儒の言葉』を引っ張り出した。いわゆる箴言集で大抵の項目は数行だから、適当に開いて眼に留まったものから読める。そうやってまず思い出したのが「つれづれ草」。ご存知の方は今更の引用をご容赦下さい。つれづれ草 わたしは度たびこう言われている。ーー「つれづれ草などは定めしお好きでしょう?」 しかし不幸にも「つれづれ草」などは未だかつて愛読したことはない。正直な...
- 2011.04.06
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南米の密林で姿無きインディオ達に取り囲まれたら ...
フランスのノーベル賞作家クロード・シモンの小説『植物園』。仕事でその一部を読むよう指示されて、厭々覗いたところがびっくり。こんな面白い話は滅多にお目に掛かれないと思いましたので、ご紹介。 イタリア人画家ガストーネ・ノヴェリの体験談です。ナチの収容所から生還したという壮絶な体験の持主で、そのために文明人づらした人間とは握手どころか顔も見たくなくなり、南米にダイアモンドだか金鉱だかを探しに出掛ける。し...
- 2008.10.30
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