あてもなき 夢想に耽らぬ 人やある

Category [ぴあの ] 記事一覧

ぴあの(16)ハイフィンガー奏法vs重力奏法


第二関節を曲げて、その先を鍵盤に垂直に当てている動画を見てびっくり仰天:1日5分で10倍上手くなる指エクササイズ!!と言うのも、『メトードローズ』『ピアノの練習 ABC』と独学でお稽古してきた経験からは、想像もできない指の形です。驚愕から立ち直り、手や指の形をキーワードに検索したところ、神戸大学の博士論文が出てきました:ハイフィンガー奏法による日本のピアノ教育の系譜 : 明治末期から井口基成の時代まで論文に...

ぴあの(15)バッハ:論理的構築の奏でる叙情の調べ


辛い練習の日々(笑)を支えてくれる、バッハのピアノ曲。連載の最後に、前半が特に素敵とか、後半に綺麗な旋律の流れてくる曲、などなどたっぷりご紹介します (以下の曲を見付けた経緯については「ぴあの(8)バッハに開眼:叙情の調べ七選」をご覧下さい)。長らくご愛読有難うございました。連載は題名を「哀愁の調べ わが心を慰む」と改め、(16) 以降、続いております。BWV783 Invention no.12BWV791 Sinfonia no.5  BWV793 Sinfo...

ぴあの(14)三冊目の教則本


というわけで、やっぱり何か続きの教則本が欲しい。実は探すまでもなく、安川加寿子センセイが『ピアノの練習 ABC』の冒頭に、「次は『ラジリテ』よ」と書いてくれてある (L’Agilité 敏捷さの意)。著者は『ピアノの練習 ABC』と同じル・クーペ。しかし『ピアノレッスンのヒント』に、『ラジリテ』は『ツェルニー30番』と一部重なる、『ツェルニー30番』はお楽しみのピアノには必要無し、と書いてあるんですね〜。これを読ん...

ぴあの(13)『ピアノの叙情詩』


2018年7月、フランスから『メトードローズ ピアノの二年生』を取り寄せて、「こりゃ〜まずった」と思いました (連載の (11))。動揺を鎮めるべく『ピアノレッスンのヒント』に行ったところ、項目「楽曲と教材」に「大人の女性に人気」との触れ込みで、 キャサリン・ロリン『ピアノの叙情詩』 が紹介されているのを発見。初・中級向けとのことで、YouTube で聴いてみるとどれも旋律が美しい。例えば、 悲歌 クラシックではない...

ぴあの(12)『ピアノの練習 ABC』


練習曲は全て一ページ。番号代りに、 J を除くアルファベットの25文字が振ってあるので、『ABC』なのです。それにしても、速度指定には参ります。4分音符=120 を越えるものばかり。つまり一秒に4分音符二回、8分音符なら4回以上打つんです。『メトードローズ』には一切速度指定が無かったので、4分音符はこのくらいかという程度で満足して、速く弾く練習を殆どせずに終えました。『ABC』に入ったからと言って、急に速く弾ける...

ぴあの(11)『メトードローズ』を終えると


日本ではル・クーペの『ピアノの練習 ABC』 (安川加寿子 校訂・註) が自然な流れとされており、私も『メトードローズ』と一緒に買っちゃいました。しかし『メトードローズ』の日本語が時々ヘンなので、仏語のプロとして真実を突き止めずにはいられず、原書を購入。すると何と訳本・第六課の口上に、「この最後の課程を終ると、クラシックの易しい楽曲等が弾けるようになります」とあるところ、原文では: 「この最後の課程を終る...

ぴあの(10)とにかくゆっくり弾く


連載 (6) の最後に、『メトードローズ』の練習曲は『バイエル』より音楽性を感じると書きましたが、中には何の感興も湧かない曲もある。そういうのに限って、幾ら繰り返してもミスらずに弾き通すことができない。 厭な曲でも辛抱して弾かないと上達しないの?何の魅力も感じない曲をしつこく弾いていると、ボクの豊かな感受性が失われてしまうんじゃないの? ..... などと心は千々に乱れるのであります。第六課 (総集編) の直前...

ぴあの(9)腕を痛めると大変なことに


私のように高齢の方は、腕のメンテにお気を付け下さい。実は既に右手の肘に軽い故障があって、東京の某鍼灸院に通っておりました。しかしピアノを始めてからは、予防も兼ねて週一に頻度を上げ、時間も増やしました。三ヶ月余り過ぎて、久し振りに本棚の上まで掃除機を掛けたところ、左手上腕が激しく痛み出し、急遽治療してもらいに行きました。治療が過ぎるといけないと思い、「90分連続集中して可能な範囲で」と言ったところが、...

ぴあの(8)バッハに開眼:叙情の調べ七選


ここでちょっと一息。 若い頃は専らロマン派を聴いたのに、いつ頃からかバロックのハープシコード曲が好きになりました。最近はハープシコードの音よりピアノの方が澄んでいるように感じて、練習中に指や腕を休める間、YouTubeでバッハのピアノ曲ばかり聴いています (正確にはピアノ・バージョン)。一々CDを買わなくても... と言うより、一々買っていたら幾らお金があっても足りないのに、色々聴けるのでYouTubeサマサマです (但...

ぴあの(7)『メトードローズ』に関するご注意


この連載を読んで『メトードローズ』をお買いになった方に、老婆心からのご忠告です。1)『メトードローズ』は恐らく『バイエル』より進み方が早い その分じっくり・みっちりやらないと、身に付かない。私は、ページ数にして2/3程来たところで急に前に進めなくなり、それまでの練習が不充分だったのだろうと、第二課 (p.12) の最初から復習を並行して始めました。復習すると、少しは上達したんだという気分も味わえます。2) p.30...

ぴあの(6)教則本『メトードローズ』を採用


正確には『メトードローズ ピアノの一年生』(Méthode Rose)。フランスのエルネスト・ヴァン・ド・ヴェルドが著した子供向け教則本です (音楽之友社、ピアニストの安川加寿子・訳編)。 第一課 (p.5〜11) :ゼロから始める人向けの導入部。曲は全て、左右両手でオクターブ離れた同じ音を弾く。 第二課〜第六課 (p.12〜59) が本体。かっては日本でも『バイエル』と並ぶ人気を誇ったそうですが、最近はアメリカ系に押されてい...

ぴあの(5)『バイエル』を三週間で放棄


1月末に電子ピアノが到着し、『バイエル』上巻で一日一時間のお稽古を始めました。それから3週間、半分も行かない内に、「上巻の次は下巻」という調子でやっていて良いのか心配になってきました。専門家グループのサイトを見たからです: 『ピアノレッスンのヒント』教則本の様々な系統、練習のアドバイスなどに加えて、「特集 バイエルを考える1、 バイエルの初級教材としての問題点」と題する記事があり、要点は以下の通り:...

ぴあの(4)電子ピアノ:ヤマハにする? ローランドにする?


 教則本も用意した。あとは、キーボードにすんの? 電子ピアノにすんの? というわけで新宿の島村楽器に行き、自分も本格的に弾いているという店員の女性に、ヤマハとRolandの一番安い機種を前提に話を聞いた。すると、 1) キーボードで練習してから電子ピアノに移れば、当然タッチの違いに慣れる必要がある。 2) ヤマハのキーボードは鍵盤サイズが僅かに狭く、電子ピアノに移って、ブラインドタッチでオクターブ先とかを弾くと...

ぴあの(3)問題ありと聞いた『バイエル』を買う


しかし、たとえキーボードでも両手で弾くとなると、やはり教則本で練習せねばなるまいが、 齢70で始めて、指が動くだろうか... 『プロフェッショナル』が弾けるレベルまで行けるだろうか... ベー...とかシュー...とかの本格的な曲は今更練習しても弾けるわけない... でも考えてみると、バッハには簡単そうな曲がある... 指を動かす練習は、惚け防止にも良いに違いない... てな調子で、夜ごと夢うつつに妄想したのであります...

ぴあの(2)70で始めたきっかけ(続)


「Chi Mai」の譜面をもらって、左手の音符全てにドレミファを振った。これで鍵盤上の位置を覚えてしまえば、指一本で弾くテンポも上がって楽しめる... 予定だったのですが、実際に鍵盤アプリで左手部分を弾いてみると、あんなに気に入っていたのに意外と単調で、期待した程嬉しくない!おかしい。こんな筈じゃなかった。考えあぐねた末に閃きました:ひょっとして、右手の奏でる旋律があるから、左手部分が魅力的に聞こえるのか知...

ぴあの(1)70で始めたきっかけ


フランスのスパイ映画『プロフェッショナル』(1981, 日本未公開) をかの地で見て、主題曲「Chi Mai (キ・マイ)」がとても気に入り、今もピアノカバー曲を目覚しに使っています: 「Chi Mai」お聞きの通り、左手部分は単純な作りなのに少しずつ音程が変化して、右手の旋律以上に魅力的に感じられる。しかも和音じゃないから指一本で弾けそう... と思ったら試したくなった。iPadの鍵盤アプリを探して、耳を頼りに最初の6音を突き止...