あてもなき 夢想に耽らぬ 人やある

Category [金融市場 ] 記事一覧

ドラマ『悪貨』と黒田・日銀


アマゾン・プライムビデオで『悪貨』を見ました (2014年にWowowで放映)。 「ある朝、ホームレスの男が目覚めると足元に100万円の札束が。万札はあっという間に流通していくが、偽札だった。しかも、最新鋭の鑑定機をすり抜けるほど精巧な作りにも拘わらず、明らかに偽札と分る仕掛けが施されていた... 一体誰が何のために作り、ホームレスに与えたのか? 」それは及川光博が台湾で、中国人実業家の後盾で印刷したもので、倉庫に...

米国のゴールドマン・サックス政府、健在なり


2016年12月18日付『ルモンド』紙のコラム記事 (Sylvie Kauffmann) をご紹介します。トランプも選挙キャンペーン中は金融界に対して極端に敵対的な態度を見せたのに、新政権の閣僚を選ぶ段になると結局、ゴールドマン・サックス(以下GSと略記)出身者に頼っている、という趣旨です。大統領選の間、ドナルド・トランプは金融界が大きな権力を握っていると、口を極めて非難した。その表現の激しさに比べれば、フランスの現オランド大統...

ゴールドマン・サックスに一矢報いた気分になれる本


『ファイナンシャリゼーション 金融化と金融機関行動』と題して、経済の金融化を正面から取り上げています(小倉将志郎、桜井書店、2016年3月刊)。私の最大の関心事の一つですから、取り敢えず要点を拾い読みする積りで買ってきました。ところが序論で引き込まれて、巻を措く能わず... とにかく平易にして明快な文章で、理解できないところはパスです。もっとも、ゴールドマン・サックスや格付け機関に対する怨念が、最後まで読み...

「貨幣は物々交換から生まれた」という神話


物々交換の不便さを解消するために貨幣が発生した、というのが通説で、私も中学の社会科の授業でそんな風に教え込まれた。しかるに齢70にならんとする今になって、これは全くの神話、つまり嘘っぱちだということが分ってきました。『国富論』のアダム・スミスも、その系譜上にある現代の主流派経済学も当然の如く受け入れている神話とは、例えば次のように表現される(フェリックス・マーチン『21世紀の貨幣論』から少し整理して引...

ゴールドマン・サックス関係の裁判で遂に陪審の有罪評決


と言っても、8月1日に有罪評決を受けたのは、既に退職した元トレーダーのファブリス・トゥール一人です。2010年4月にSEC(米証券取引委員会)がニューヨーク連邦地裁に民事提訴した裁判の結果で、提訴理由は「サブプライム・ローン関連の金融派生商品を設計して、顧客に不利な情報を伏せたまま販売した行為」です。ゴールドマン・サックス(GS)と言えば、サブプライム・ローンに起因する金融危機の元凶と目される金融機関の一つであり...

格付け会社はそもそも信用に値するのか


1月13日に米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がフランス、イタリアなどユーロ圏9カ国の格付けを引き下げて以降、金融市場を始め世界中大騒ぎです。しかしそもそも、S&Pを筆頭とする格付け会社はそこまで信用に値するのか。暫く前にも書きましたが、S&Pは他の二大格付け会社と同様、サブプライム・ローンを組み込んだ各種金融商品にAAAを与えていたそうです!! そのお墨付きを信じた世界中の金融機関が購入したた...

金融市場の我儘勝手


ギリシャの債務危機が、与野党一致してEUの包括策を受け入れることになって取り敢えず沈静化したと思ったら、今度はイタリアが市場で問題とされている、こんな表現がまかり通っています。しかしその実態は、金融市場が儲けるための矛先をイタリアに向けた、と言うべきじゃないでしょうか。イタリアが何とか治まれば今度はポルトガル、次にはスペイン、フランスと順に攻撃されるに決まっています。要するに自分達が儲けるネタを常に...

ユーロ危機:仏紙の興味深い解説


今朝の日経 (12月22日付) に「欧州、格下げ圧力強まる 財政難への懸念再燃 日米などに波及警戒 」というタイトルの記事が出ました。これに関して、先日フランスの『ルモンド』紙に余り日本では見かけない論理が展開されていたので (12月11日付、協力編集委員ダニエル・コーエン)、ご参考までに一部を意訳してみました :ユーロ危機には複数の原因があるが、その中核に一つの逆説が潜んでいる。現在、景気低迷を背景に一般的な金...