あてもなき 夢想に耽らぬ 人やある

Category [趣味で読む『源氏物語』 ] 記事一覧

源氏物語:和文の流れを大切にした原文テキスト


段落タイトルも注釈用の一,二,三,...も「 」右肩の人名も無い、純粋に原文のみのテキストを作成しました。「源氏物語の世界」に掲載の本文をお借りして、縦書きに変換、段落タイトルを削除、更に些か過剰な読点と改行を岩波『新 日本古典文学大系』版に合わせて削ったものです。 和文の柔らかさと密度の高さを兼ね備えた散文を、お楽しみ下さい。iPadのブラウザSafari上で以下のリンクをタップした後、「ブックにコピー」すれば...

桐壷,帚木,空蝉,...の順に読むと、話の流れが不自然かも...


林真理子 初めのほうの、空蝉に対する光源氏の態度はちょっと傲慢。現代の女性に好意をもたれない感じがします。それも相手は人妻。紫式部はなぜ、読者に嫌悪感をもたせるような女性関係をオープニングに設定したのでしょうね。山本淳子 なぜでしょうね。私にもわかりません。 (誰も教えてくれなかった   『源氏物語』本当の面白さ  林真理子×山本淳子、小学館新書  p.32、最後から二行目)林真理子の疑問はもっともで、...

大野 晋:平安時代に何故一人の女が源氏物語を書いたか


2009年の記事「『源氏物語』54帖執筆順の謎:大野晋の解説書紹介」の最後にこんなことを書きました:  大野晋がどこかで、「『源氏』というのは、母系制社会が滅びゆく瞬間に女性達の放った最後の光芒とも言うべき、悲しい悲しい物語」といった趣旨を述べているその時には、自宅の本棚を幾ら引っ繰り返しても、どこに書いてあったのか突き止められなかった。それが今回、わけあって岩波『日本古典文学大系』(旧大系) 版の『源氏...

源氏物語:主役は光源氏にあらず


(続編あり :「大野 晋:平安時代に何故一人の女が源氏物語を書いたか」)子供心に、『源氏物語』とは義経や頼朝の話かと思っておりました。それから50年、和文の魅力に引かれて三度も読みましたが、今度は平安流女たらしの話にしか見えなかった。でもそれは読みが浅はかだった! 光源氏とその末裔達の女性遍歴が書いてあるように見えるけれど、そこに描かれているのは実は、彼等に翻弄される女達の生き様なのだと、漸く悟りまし...

源氏物語:帚木を飛ばして読む法


桐壷, 帚木, ...と本にある通りの順に読む、この一見当り前の考えが、現代語訳も含めて『源氏』通読の大きな妨げになっているのではないかと、最近つくづく感じます。いわゆる武田仮説の想定する執筆順に沿って読む方が遥かに見通しが良いし、私も最初に原文を読破できたのは同仮説のお陰です。要約すれば、 1)藤裏葉までの前半33帖は、a,b二つの系統に分離できる。ここで、a系とは桐壷から若紫に飛んで須磨,明石を含み藤裏葉で...

大野晋『源氏物語』:追伸


私は最初『源氏』を朝日新聞社『日本古典全書』版で読みましたが、岩波『日本古典文学大系』版など他の注釈書でも共通して、本文中の会話を示す「.....」の右肩に話し手の名前が小さく書き込んであります。これが意外と眼について、無視しようと思っても出来ない。前後の文脈等で誰が言ったのか大抵の場合は明らかなのに、その小さな文字のために和文の流れが断ち切られてしまうのは、いい加減我慢ならないとずっと思っていました...

『源氏物語』54帖執筆順の謎:大野晋の解説書紹介


『源氏』研究では素人だった和辻哲郎が、54帖の執筆順を解明するのに貢献した、という話です。彼は「第一帖桐壷から第二帖帚木に読み進んだときに違和感を感じる」と指摘した。更に、桐壷の巻では光源氏の女性関係について「藤壷が好きで葵の上をほんとには好きになれなかった」としか書いてないのに、帚木の巻の冒頭で彼がいきなり有名な好色人として登場するのは変だと感じ、そこから『源氏』は現在の順序で書かれたのではないだ...